石川県の白山山麓、旧白峰村牛首付近で生産されている紬です。節の浮いた、強くしっかりとした独特の質感をもつ、光沢のある生地が特徴です。一般的な紬は繭を真綿にしてから糸を紡ぐのに対して、牛首紬は玉繭を使い、繭から糸を直接引き出す方法で糸を採ります。

牛首紬の名称は、生産地である現在の石川県白峰村にあたる牛首村の地名に由来します。牛首村という地名は、717年頃、白山を開山された泰澄大師が牛頭天皇を村の守護神としてお祀りになり、その後、牛頭の文字にちなんで命名されたといわれています。

牛首紬の歴史は古く、1159年の平治の乱に敗れた源氏の落人により伝えられたといわれており、元禄年間(1688年~1703年)頃には、全国に流通しており、牛首紬の名で知られていたそうです。釘に引っ掛けても破れるどころか、釘を抜くほど丈夫といわれたことから、「釘抜き紬」とも呼ばれました。

昭和初期頃まで盛んに生産されていましたが、その後、生活様式の洋装化などの影響で、次第に生産量が減少していきました。

現在、着物の需要の低下や後継者不足などの問題がありますが、昔ながらの伝統技術が受け継がれ、生産されています。