石川県の能登、羽咋地方で生産されている夏の麻織物です。麻独特の通気性の良さや軽さに加え、サラリとした肌触りがあり、細やかな絣模様が特徴です。石川県の無形文化財に指定されています。

古くから麻の栽培が盛んで、崇神天皇の皇女によって麻織物の技術が伝えられたといわれています。江戸中頃までは、織物としては自家用程度で、この地域で生産されていた麻糸は近江上布の原料として使用されていたそうです。

1814年に、近江より職人を招いて技法を導入したことにより、品質が改良され、また、加賀藩にも積極的に保護・奨励され、発展していきました。当時は、能登縮や安倍屋縮と呼ばれ、近江商人によって全国に広がっていったといわれています。

技術向上の努力が続けられ、明治時代には、能登上布の名称が確立し、昭和初期まで盛んに生産されていました。

その後、生活様式の洋風化などにより、着物の需要が低下し、衰退していきました。現在、後継者の育成などの活動が積極的に行われています。