山梨県の郡内地方で生産されていた織物です。すべりがよく、光沢がありやわらかいのが特徴的です。

織物の歴史は古く、平安時代の三代格式の一つである延喜式の中に、朝廷に甲斐の国の布を納めていたことが分かる記録が残っているそうです。その後、南蛮貿易でもたらされた海気と呼ばれる織物が、甲斐絹の起源になったといわれています。

寛文年間(1661年~1672年)頃に、現在の山梨県にあたる甲斐国の郡内地方の職人が、それをまねて作ったことにより、郡内海気などと呼ばれ、人気を博し、盛んに生産されていたそうです。

明治時代に入ると、甲斐絹の生産は、ますます盛んになり、明治中頃から「甲斐絹」の字があてられ、定着していったといわれています。

しかし、第二次世界大戦を境に、甲斐絹の生産量が激減し、その姿を消すことになります。

現在、甲斐絹そのものは生産されていませんが、山梨県の郡内地方の織物は、甲斐絹で培われた技術を生かして、多種多様な織物が生産されています。2002年に、甲斐絹の復活を目指して「甲斐絹座」が結成されています。